しずく

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少しだけ、儚い日

人と話したあと、たまに自分が、少しだけ減った気分になる。中身が外に出ていったみたいに、少し空っぽになる。金曜日。帰りの電車に揺られながら、どこにも居場所のない自分がいた。さっきまでここにいたはずの自分が、どこかに行ってしまったようだった。今...
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雨の音を聴く

自分の評価は、自分でする。そう思っていても、人から言われたことが忘れられない日もある。どんなに流しているつもりでも、ふと気づけば、自分が見つからない。わたしは大丈夫。でも、そうかも知れない。いや、やっぱり違う。その揺らぎに耐えられなくなった...
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白銀の世界に、静かに立っていた  ー旅シリーズ②

昔、小説で読んだことのある、錦繍の蔵王。キュンパスの存在を知ったその日、ずっと憧れていたその地に吸い込まれるように、チケットを購入した。わたしの胸が、小さく音を立てた。旅の始まりは期待と嬉しさに満ちている。蔵王温泉。天気は曇、そして少しの雪...
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新しいリズムはぎこちない

慣れない人と、話せるようになってきた。嬉しいはずなのに、どこか怖い。新しいリズムは楽しいけれど、まだ少し、不安な音が鳴る。それでも、とめたくないからリズムを探す。ゆっくり、音を重ねていく。慎重に、慎重に。楽譜のない音楽が、始まっていく。
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2つのクルミっ子  ー旅シリーズ①

母が唐突に「クルミっ子というお菓子が食べてみたい」と言った。休日、東京駅を散々歩き回りやっと見つけた。クルミっ子は既に完売。それでも2つだけ入っている詰め合わせがあった。年老いた母親にとって、遠出は簡単ではない。来てよかった。片道1時間以上...
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雨の仕業  ーある春の日③

4月の雨は暖かくて好きだ。でも、まだ見ていたかった桜は散っていく。社内も、どこか落ち着かない。ふと、外を見る。気づけば、桜に、新芽が広がっていた。わたしの中にも、何かが芽吹く。これも春の雨の仕業だろうか。そっと、胸に手を当ててみる。いつもよ...
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言葉が泡になる日

どうやったって、届かない想いがある。どうしたって、伝わらないことがある。わたしは、また諦めてしまう。どんなに言葉に託しても、泡のように消えてしまう。近づいても近づいても、遠い。わたしのはもっと重いーー。そう思っても、届かない。雨の日は、少し...
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一人で見る桜もいい  ーある春の日②

桜の季節になった。河川敷の桜は、少しだけ咲くのが遅い。それでも満開になる前から、花見客で賑わっている。わたしは、一人で桜を見るのが好きだ。だから、夕方にそっと観に行く。子供たちは遊び足りないのか、まだ駆け回っている。楽しい声が響く。なぜだか...
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頬を撫でた春風  ーある春の日①

3月最終日、明日からカレンダーも4月に変わる。今日は風がつよい。またこの季節が来たかと、少し立ち止まる。あとどれくらい、この風を感じられるだろう。あと数十回。それでも、わたしは完成しない。きっと、未完成なまま、いる。そしてまた、暖かい風がわ...
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自分に戻る戻るための場所  ープロローグ

気づくと、少し無理をしている。自分が遠くて、うまく掴めない。頼りないような、落ち着かないような感覚。そんなときがある。自分に戻りたい。小さな衝動がわく。深呼吸をする。ふとした匂いに気づく。静かな音に耳を澄ませる。そして、ほんの少し頭が空っぽ...