雨に溶ける

自分の評価は、自分でする。

そう思いながらも、

人から言われたことが消えない日。

ふと気づけば、自分が見つからなくなっていた。


わたしは大丈夫。
いや、その通りかも。
でも、やっぱり違う。



その揺らぎに耐えられなくなったとき、

ふっと、自分が遠くなる。


そんなときは、雨の音を聴く。

わたしは雨のなかに溶けていく。



子どもの頃、家族で観に行った映画。

海外の島で、絶滅した幻の動物を探す話。

何日もテントで、静かに時を待つ父。

ある日、好奇心の強い子どもがついてきて、仕方なく別のテントで息を潜めることになる。

けれど子どもたちは耐えきれず、遊び騒いでしまう。

そのとき父は言った。



「いくら雨で存在を消せるからといって、そんなに騒いでは駄目だ――」



その映画を観た日から、
わたしの雨の日は変わった。



世界から気配が消えて、
自分が、手の中に戻っていく。



そして今日も、雨の音を聴く。

雨に、溶けていく。

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