一人で見る桜もいい  ーある春の日②

桜の季節になった。
河川敷の桜は、少しだけ咲くのが遅い。

それでも満開になる前から、花見客で賑わっている。


わたしは、一人で桜を見るのが好きだ。


だから、夕方にそっと観に行く。

子供たちは遊び足りないのか、まだ駆け回っている。


楽しい声が響く。

なぜだかわたしは落ち着かない。


人がまばらになった広場で、桜だけが存在感を増していく。


桜は、何も言わない。


わたしの中をただ、記憶が通り過ぎていく。

学生時代の、入学式。

幼稚園の卒園式へ向かう朝の、
母の手のぬくもり。


桜はどこか甘くて、切ない。


今年も、美しく立っている。

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